皆さんこんにちは,マリンです.
今回は東京大学 航空宇宙工学専攻の入試情報をまとめたいと思います.
特に専門科目を掘り下げてみます.前にも少し書きましたが,航空宇宙工学専攻では単なる機械科の授業では扱わないような内容も出題されるので試験範囲には注意が必要です.
とはいえ,その根本にあるのは四力ですので対策さえきっちりすれば,独学でもなんとかなると思います.
以下の情報をぜひ役立ててくださいね.
試験日程
2018年の東京大学 航空宇宙工学専攻の各日程.
- 入試説明会 5/24
- 出願 7/3~7/12(消印有効)
- 筆記試験 8/27~8/28
- 1日目 9:00-11:00 英語(TOFLE) 13:00-15:30 数学
- 2日目 9:00-12:00 専門科目 13:30-16:30 専門科目
- 3日目 午前・午後 面接
入試説明会は5月にあります.
ですが入試説明会といっても願書配るだけ.話す内容もネットに書いてあることだけで,暑い中出向いた割には大した収穫はナシ.
学部の雰囲などを知るにはよい機会かもしれませんが.
そんなのどうでもいいって人は,願書さえ入手できればわざわざ行く必要はないと思います.
ちなみに,願書や過去問は工学部のプリントセンターで入手可能です.
過去問は数学のみ東京大学のホームページに載っていますが,専門科目はプリントセンターで1年分300円で売っています.多分6年分くらいは売っていると思う.
遠方に住んでいる場合,郵送にも対応しているので角3封筒に自分の住所、氏名を書き、切手を貼って工学部プリントセンター(工学部13号館)まで送りましょう.
より詳細な情報はこちらをご覧ください.
東大受けるなら過去問は絶対持ってたほうが良いので,早いうちに先輩に貰うか,買うかしましょう.
また,航空宇宙工学専攻はすべての人が面接を受けさせられます.
午前と午後で50~60人くらいずつに分かれてそれぞれ約2時間で裁くそうなので,単純計算で一人あたりも面接時間は数分です.
短くて拍子抜け(笑)
面接の詳しい内容はこちら.
試験範囲
数学
東大工学系の院試では幅広い範囲から出題といったされ,以下のような問題構成がかれこれ10年ほど続いている.
どれもこれも基本ヘビー.試験時間は2時間半で大問6つのうちから3つを選んで解答するので,1問当たり50分の計算になる.
- 第1問 常微分方程式/偏微分方程式/積分
多くの人が解くであろう大問.近年は数個の小問に分かれていて出題される.東大の数学の中では比較的取りどころだと思う.今年はオイラー型の常微分方程式2問と漸化式を用いて積分を計算させる問題がでた.
- 第2問 線形代数
対角化してうんぬんかんぬん…みたいな流れが多い.一方で,証明もちょくちょく出題されるので慣れておこう.
- 第3問 複素関数論
留数定理などを用いた積分か写像にまつわる問題が出題される.どうやら写像にまつわる問題は近年難化傾向だそうなので慎重に選択する必要がある.
一方,複素積分では同じようなことしか問われないので対策はしやすい印象.
- 第4問 ベクトル解析/図形
立体の求積などどちらかといえば大学入試の延長のような問題が出題される.年によっては取りどころかもしれない.
- 第5問 フーリエ変換/ラプラス変換
フーリエ変換やラプラス変換を用いて微分方程式を解かせる問題や,定理の証明など.難易度はあまり高くない気がする.
- 第6問 確率論
私は何も対策してないです(笑)というより,選択するつもり皆無でした.
大学で確率論などを履修していれば対応できるのかも.
専門科目
東大の航空宇宙工学専攻では以下の大問4つで構成されるテストを試験2日目の午前と午後で2回行う.試験が終わるころにはくたばる.
- 第1問 流体力学 圧縮性流体/粘性流体/ポテンシャル流/翼理論
例年,午前午後どちらかが圧縮性流体でもう一方は非圧縮性流体に関する問題が出題される.
そのため,今までその内容が大きくかぶることはなかったが,今年は午前も午後もポテンシャル流れを絡めた問題が出題された.
専門科目の中では流体力学が最も勉強すべき範囲が広いと思われる.たまにパンパなく難しい問題も出題されるので注意.
- 第2問 固体力学 材料力学/弾性力学/振動工学
基本的に材料力学の範囲から出題されるが,近年ばねを用いたつり合いやバネマスダンパ系の振動など材料力学っぽさの薄い出題も見受けられる.材料力学が得意な人なら完答も可能だと思う.
- 第3問 航空宇宙システム学 制御工学/機械力学/航空力学
今年は午前にロケットの推進と制御,午後に航空機の姿勢制御に関する問題が出題された.
私はどっちも飛ばした.
年によっては系の安定判別といったコテコテの制御工学が出題されたり,スイングバイや回転する衛星の制御といった力学色の強い問いも出題される.また,航空機の揚力にまつわる内容も何度か出題されている.
- 第4問 推進工学 熱力学/機械力学/伝熱工学
第4問では機械力学か熱力学のどちらかが出題される.
熱力学ではほとんどの年でブレイトンサイクルにまつわる問題.
たとえば,中間冷却サイクルや再生サイクル,ターボファンエンジンなどなど.
ブレイトンサイクルは問題のバリエーションがあまりないのか結構同じような問題が多い.ただ,過去に一度だけノズル周りの伝熱に関する問題が出題されたので,少しは伝熱工学の対策も必要かも.
機械力学の出題では連続体や多自由度系の振動にまつわる内容が問われることが多い.
変わりダネでローレンツ力を絡めた円運動の問題が出題された年も.
英語
例年,東京大学工学系の大学院入試では英語の試験としてTOFLEを導入している.
基本,事前に受験したTOFLE iBTのスコアを提出することも可能だが,おなじ東大でも航空宇宙工学専攻だけそれが認められていない.
ここめっちゃ重要.
航空宇宙工学専攻に限っては受験生全員,試験当日にTOFLE ITPを受けなければなりません.
今年度のTOFLEに関する東京大学からのお知らせをこちらに貼っておきます.
なんでこんなことになっているのかわかりませんが,勘違いしやすいので注意です.
総評
東京大学の航空宇宙工学専攻では必要とされる知識の範囲がとても広いです.
また,航空宇宙工学と絡めた問題を好み,ただ工学部の授業を受けているだけではキビシイ問題も中にはあります.
私のような外部の学生は航空宇宙工学の分野を独学で学ぶ必要性に迫られます.よって,早いうちから学部4年分の授業を復習しておくことをお勧めします.
内部生だって容赦なく不合格になる専攻です.
合格にはかなりの覚悟と犠牲が必要ですがその先には素晴らしい環境が待っています.
それでは今回はこの辺で.
こんにちは!東大の航空宇宙工学専攻を受験しようと思っているものです。突然で申し訳ありませんが過去問をいただけませんでしょうか。
始めまして.以前にもコメントくださっていたみたいですね…返信遅れてしまい申し訳ないです…
過去問の件ですが,大変心苦しいですが,著作権の観点から個人に対して過去問を提供することはしていません.私も外部の受験生として過去問の解答の入手には苦労しましたので,気持ちは痛いほどわかるのですが…
とはいえ,解答は付いていませんが専門科目は過去6年分を東京大学プリントセンターで販売していますし,数学なら過去9年分を東大ホームページのほうで公開しています.
過去問
大学受験と異なり,院試では模範解答が付属する過去問は少ないようです.代わりといっては難ですが,私のブログで紹介した参考書は過去問の解答に値する内容が多く含まれています.参考にしていただけたら幸いです.